GLOBAL CHANT!

世界の素敵を発信するWEBメディア

ベトナムの人気記事

治療法なし…重症化…熱帯の悪魔「デング熱」との付き合い方

COMMUNITY ベトナム 2017.08.17

もし、あなたに海外転勤の辞令が下ったら!

家族はどうしようか…
現地の食文化は舌に合うか…
職場の同僚とは上手くやっていけるか…

いろんな壁があるかと思いますが、その中で生命に直結するもの、それは…やはり!

病気です。

とくに近年、目覚ましい発展を遂げている東南アジアでは、その熱帯の気候ゆえにかかりやすい病気として「デング熱」が挙げられます。蚊を媒介として感染するもので、世界では年間1億人近くの人がかかり、日本でも熱帯地域などからの帰国後に羅患が判明した人は年間200人に上るそうです(国立感染症研究所のHPより)。

それでもやはり日本でかかることは滅多にないデング熱、その苦しさにピンとこない方も多いでしょう。正直に言えば、筆者もかかったことがなければ、さほど関心もなく、しばらくは天狗熱と聞き間違えていたくらいです!4年前、友人のお見舞いに行くまでは。

病室を訪ねると、目の前にいる私が見えているか分からないほどの意識の朦朧ぶりに思わず狼狽。「これが死相か…」と息を呑んだことを今でもハッキリと憶えています(1週間ほど後に完治しました)。そこで今回は、来たる日のために、デング熱の恐怖、その予防措置、それでも罹ってしまった場合の対処方法などをご紹介します。読了時間の目安はおよそ4分、見ておいて損はありません!

デング熱羅患経験者たちでその恐怖を語り合う

まずはデング熱の恐怖体験を語り合ってもらいましょう!

ベトナムの在住者に声を掛けたところ、3人の方に集まっていただきました。スケジュール調整上この人数ですが、Facebookで募ったところ7人もの方が名乗り上げてくれたことに驚き。知らないだけで、かなりの方がかかっているのですね。

体温は40度まで上昇!意識朦朧の恐怖

川村さん : 私は2011年9月、フエ(中部の街)でですね。
筆者 : 随分とハッキリ覚えられていますね!
川村さん : いやぁ、忘れられませんよ。雨に濡れながらサッカーをしていたら、翌日から一週間ほどに渡って40度の熱が出ました。最初はふつうに熱だと思ったのですが…。
筆者 : 40度って…生命が危ぶまれるレベルですよね。
藤田さん : 私も、最高で39.9度までいきました。
筆者 : うわー。
大迫さん : 私は38度です。
筆者 : それでも十分に高い!熱は抗体がウィルスと戦うことによって引き起こされると聞いたことがありますが、それだけデング熱が強力だということなんでしょうね…。
川村さん : 立てないし、何も喉を通らないし、返事すらできない状態でした。
筆者 : 完全に病人じゃないですか!
川村さん : 完全に病人ですよ!

川村さん。フエで日本語教師をしていた頃に発症。生徒が交代で看病してくれたという。

髪の毛が抜ける!?

川村さん : 髪も抜けて驚いていたら、生徒に『そりゃ抜けますよ』って言われて。
筆者 : え、そんな症状もあるんですか!?怖いなぁ…。
大迫さん : あれ、やっぱりそうなんですか?私は2016年の暮れにデング熱にかかったのですが、完治後の2,3月に髪が抜けて、関係あるのかなとちょっと気になっていました。
筆者 : 時間差がありますね…後日、医師の方に聞いてみたいと思います。

※デング熱にかかると2、3ヶ月後に脱毛することはあるそうです。ただ、期間が空くので、デング熱と関係があると思わず焦る方も多いとのこと。

筆者 : 大迫さんの症状はどうだったんですか?
大迫さん : 私は飲食店で働いているのでなかなか店も空けられず、熱は出るけど解熱剤を飲んで、そのうち治るだろうと誤魔化し誤魔化し働いていたら身体がむくみだして、これはまずいなと思って病院に行ったら…フッと気が抜けて動けずそのまま入院です。
筆者 : 耐え続けた結果、ツケが溜まりに溜まった感じですね…。
大迫さん : それから3日間点滴を受けつづけ、動けるようになったという感じでした。

大迫さん。店頭に立たなければならない飲食店で働いているので、病気は死活問題だ。

一時帰国の前後は要注意!症状の長さよる厄介さ

筆者 : 藤田さんはどのような?
藤田さん : それが、ベトナムから日本に戻り、またベトナムに戻る前日に発熱という。
筆者 : うわっ、移動が多いタイミングですか!厄介そうだ…。
藤田さん : はい、その通りで。日本で医者に診てもらってもデング熱とは診断されず、解熱剤をもらっただけだったんですが、これはちょっと戻れる状態じゃないなと何度も便を振り替えて、もう変更できないとなって無理を押して飛行機に乗って戻りました。
筆者 : デング熱と判明したのはいつ頃ですか?
藤田さん : 高熱が治まると、赤い斑点やしもやけのようにかゆい皮膚のゴワゴワ感を覚えて、その症状をFacebook上に書いたら、友人が『デング熱じゃない?』と。時間の経過とともに治ったのでそれから医者に掛かってはいませんが、症状的にはデング熱です。
筆者 : ちなみに、髪の毛が抜けたりとかしました?
藤田さん : それはなかったのですが、ベトナムでロードバイク(自転車)に乗っていて、一週間の高熱で相当に体力を消耗したみたいで筋力が落ち、それを取り戻すまでに時間が掛かってしまいましたね。
筆者 : あぁ…生活に必要最低限の運動量だと、気づかないところですね。

38度から40度の熱、声も出せない状態からなんとか動ける状態、症状の重さはさまざまですが、「今までで一番重い病気は?」と聞くとみなさん揃って「デング熱」だと答えました。それでも個人的には耐え抜けばなんとかなるという印象。国が注意喚起するほどなのだろうか?医師の方に伺うと、想像以上に怖い存在ということが分かりました。

藤田さん。ゆっくり療養できないタイミングでのデング熱は大変。

デング熱、その本当の恐怖と対処について

ベトナム・ホーチミン市にあるLotus Clinicの白井院長にお話を伺います。

デング出血熱への重症化が危険!

筆者 : デング熱は高熱を引き起こす、それだけであれば意外に症状は軽くないですか?
白井院長 : デング熱が危険視される理由は、デング出血熱に重症化する場合があるためですね。血を止める血小板が減少し、鼻や歯肉、内蔵からの出血を引き起こします。
筆者 : それは…確かにかなりの重症ですね…。
白井院長 : インフルエンザが危険視される理由もインフルエンザ脳炎に重症化する可能性があるためです。しかし、こちらにはタミフルなどの効果が認められる治療薬がある一方で、デング熱にはそれがなく、患者自らの抗体によって治療するしかありません。
筆者 : 抗生物質などはないのでしょうか?
白井院長 : 抗生物質は、細菌性の疾患に効果のあるもので、ウィルス性のものに対しては効果がありません。ただ、あまり良いことではないのですが、日本では患者が安心するからという理由で風邪の時にも処方することがありますね。デング熱の場合は効果がないので抗生剤は処方しません。
筆者 : そうなんですね…。では、治療法はただ寝続けるしかないのでしょうか?
白井院長 : 医療機関としては、対症療法といって、発熱や関節痛などの症状を改善する薬を処方したり、食事をとれない患者には点滴を打つこともあります。
筆者 : なるほど…。重症化するし、治療薬もない。危険だ!ということが分かってきました…。

症状による診断は不可能、血液検査だけ

筆者 : 患者が熱を出して、これはデング熱だと自己判断することは可能ですか?
白井院長 : それもできません。正確に言えば、初期症状だけでは医者であっても判断できず、血液検査でないと不可能なのです。しかし、身体の倦怠感だけで済む方もいるので、知らない間に罹っていて知らない間に治っていたという方もいらっしゃいます。私の経験上、インフルエンザや風邪の場合に比べて、『眼の奥が痛い』と訴える方が多いように感じます。
筆者 : その存在の見えなさがとにかく怖いですね…。
白井院長 : ただ、熱が下がって身体は楽になったけど、発疹が出るとデング熱の疑いがあるので必ず病院へ行って正確な診断を受けてください。デング熱かどうかもそうですが、その重症度も血液検査から血小板の低下の程度を見なければ判定できません。自然放置で治ったということは結果的に軽いデング熱であっただけで、非常に危険なことなのです。

デング熱は二度かかると死亡リスクが高まる、は迷信?

筆者 : デング熱は二度かかると死ぬと聞いたことがありますが、あれは本当ですか?
白井院長 : 死ぬというわけではありませんが、二度かかると重症化してデング出血熱になる確率が高くなると言われています。
筆者 : あぁ、危険が増すことは変わらないんですね。
白井院長 : デング熱のウィルスは4種類存在しているのですが、たとえばAにかかると抗体ができるのでもうかからなくなります。二度目のデング熱にかかった場合はそれはB、3度目のデング熱にかかった場合はそれはC、ということなんです。
筆者 : ということは、4種類すべてかかるとデング熱自体に二度とかからない?
白井院長 : 四度かかる時点で危険です。過去見た中で最大の方でも二度ですね。

媒介となる蚊は水場に多く生息する。

予防措置はとにかく蚊に刺されないこと

筆者 : 治療が抗体に頼るしかないことは分かりました。それでは予防は…やはり、とにかく蚊に刺されないようにするしかない!ということですか?
白井院長 : その通りです。熱帯であれば、都市部は農村部に関わらず蚊は存在するので、どこでも感染リスクがあります。虫除けスプレーや蚊取り線香などを使う、長袖を着たりして肌の露出を抑える、つまりは一般的な蚊除けをしていただくことになります。
筆者 : ちなみに、今更ですが…なぜ日本ではデング熱がほぼ存在しないのですか?
白井院長 : 蚊は日本では越冬できないからです。
筆者 : あ、そうか!年に一度は全滅するという。
白井院長 : はい。ただ、2014年に代々木公園で感染事例があったように、夏の間に熱帯の国などから持ち込まれる場合があります。また、近年の地球の温暖化と、蚊の突然変異によっては、日本でもよくある病気になる可能性はありますね。
筆者 : 生態系の変化と関係しているのですか…。最近、ヒアリも問題になっていますしね。あれは気候の変化とは関係ないけど、あり得ないことだとは言い切れないと。

まとめ

いかがでしたでしょうか?
デング熱について分かったことを整理してみましょう。

・初期症状では分からず、血液検査でないとデング熱だと判断がつかない
・症状は重い風邪と同じで一週間程度で治るが、デング出血熱に重症化する場合あり
・熱が下がって発疹が出たらデング熱の危険あり、重症化の危険もあるため必ず病院で診てもらう
・治療法はなく、患者自身の抗体に頼るしかない(症状の対処は病院で可能)
・デング熱ウィルスには四種類あり、一度罹ったタイプは二度罹らない
・日本でも気候などの環境の変化により今後発生しないとは限らない

重症化、ワクチンなどの治療法はなし、初期症状からは判断できない、などと想像以上に怖いデング熱。当初私が考えていたよりよほど注意するべきものだと分かりました。年間1億人が感染しているという事実も伊達ではありません。ただ、滅多に重症化することはない…とは言え、仕事や生活に支障をきたすことは避けたいもの。熱帯地域への赴任が決まったときには、蚊除けスプレーと長袖シャツは準備万端で臨みましょう。

とはいえ、私は現地でほぼ半袖生活を5年半以上送っていますが、いまだにデング熱の類にはかかったことはありません。だからといって大丈夫!とは決して言えませんが、そこそこに対策を立てつつ、海外生活を楽しんでいただくことを願っております!

取材先:Lotus Clinic(http://www.lotus-clinic.com/
出典元:国立感染症研究所(https://www.niid.go.jp/niid/ja/encycropedia/392-encyclopedia/238-dengue-info.html

ネルソン水嶋(Nelson Mizushima)

1984年、大阪出身、現在はベトナムのホーチミン市を拠点として活動するライター/ブロガー。デイリーポータルZやネタりかなどのWEBメディアを中心に、現地での取材と、海外在住者ならではの考察を強みとした記事を執筆中。学生のときに広告クリエイターに憧れ、挫折したあとSEとして都内で5年働き、ベトナム旅行中に現地で働く日本人に誘われて移住した。

TOPへ戻る

RANKING lC̃LO

お気軽にお問い合わせくださいContact Us

お電話で

気になるサービスや赴任時期などお聞かせください。

[フリーコール]0120-925-021
受付時間:10:00~19:00(土日祝を除く)

フォームから

ご希望の方へ、ご参考資料をお送りします。

資料請求 / お問い合わせ

Facebookも要チェック!Follow me

ワールドビジネスサポート facebook